2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720071
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久堀 裕朗 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 准教授 (50335402)
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Keywords | 淡路人形座 / 人形浄瑠璃 / 近世演劇 |
Research Abstract |
研究実施計画に記した通り、「I.淡路座興行記録の探索、整理/大坂の興行記録とのつき合わせ」「II.淡路座上演テキストの調査/大坂初演テキストとのつき合わせ」「III.淡路の座本仲間記録の調査、分析」を並行して進めた。 I については、南あわじ市淡路人形浄瑠璃資料館、松茂町人形浄瑠璃芝居資料館、兵庫県立歴史博物館、徳島県立文書館において再調査を行い、これまで精査できていなかった資料の分析を行った。特に松茂町人形浄瑠璃芝居資料館蔵の、目録化されていない浄瑠璃本(淡路座旧蔵写本)を悉皆調査した。加えて、既に収集済みの資料(番付・文書・浄瑠璃本)の整理も適宜進めていった。また新たに江戸時代の淡路島の地誌書から、淡路座に関する記述の抽出を開始した。 II については、大坂初演の二作品を取り合わせて成った淡路座の改作『賤ヶ嶽七本槍』の成立時期と作品構成を分析し、「淡路人形座の作品伝承-『賤ヶ嶽七本槍』を例に」として学会発表した。併せて、淡路座による改訂作品に顕著な最終段の増補、及び五段組織への組み替えについて、事例の整理を行った。 III については、淡路の座本の中心であった上村源之丞座旧蔵引田家文書(南あわじ市淡路人形浄瑠璃資料館寄託)を精査するに当たり、同文書をもとに大正期に作成された三田村鳶魚稿「淡路阿波人形座旧記襍纂」(早稲田大学演劇博物館蔵)を調査し、有用な記録を見出した。 以上の作業に並行して取り組みながら、淡路人形座と大坂浄瑠璃界の交流について、総合的な考察を進めた。
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