2010 Fiscal Year Annual Research Report
文政年間刊の読本をめぐる江戸・上方間の書物交易〈本替〉の実態調査
Project/Area Number |
21720072
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
木越 俊介 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (80360056)
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Keywords | 近世文学 / 出版 / 流通 |
Research Abstract |
2年目の本年度は、引き続き文政年間刊の読本作品の調査を中心に行った。特に奥付の刊記に注意を払い、可能な限り複写をし、内容を吟味した。とはいえ、本替という現象をつかむための大きな手がかりとなるようなものは得られず、少し研究の方法を変える必要も迫られている。すなわち、当初から予想はしていたが周辺資料が少ない中ではやはり状況証拠となるものしか提示できず、何か別の視点が必要である。本年度はそうした問題意識を持ちながら研究を行った。その結果、本替という点に拘泥せずに、いまだ未解明な点が多い文政期の読本そのものを多角的に理解していくことが、長期的視野に立てば生産的であると考え、ともかく実直に作品を読み、また特殊な問題点を有するものには特に注意を払った。その中で、従来文政年間に刊行されたとされてきた竹内確斎作『絵本室の八島』という作品は刊年の再検討を含め多くの問題を含むことが分かったので、本作と、同作『阿也可之譚(あやかしものがたり)』についての研究成果を最終年度に発表する予定である。 また、文政年間の読本作品の問題点として、長編化の傾向が強いこと、また他の作者の嗣作(続編)などが目立つことに気付き、こうした点にも注目して作品の読解をすすめた。
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Research Products
(1 results)