2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域文学組織を基盤とした近代日本語文学圏の「草の根」文学交流研究
Project/Area Number |
21720075
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
藤澤 太郎 J. F. Oberlin University, 人文学系, 講師 (30406847)
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Keywords | 地方文学 / 台湾文学 / 関東州・「満洲国」文学 / 山形県文壇 / 長崎浩 |
Research Abstract |
本平成21年度は、特に「台北文壇と山形地域文壇との関係」の問題について資料の調査・収集・分析を進めるとともに、「関東州・「満洲国」を中心とした詩歌交流」・「中華民国(日本影響下地域)を中心とした文壇交流」のニテーマについて基礎的な調査・資料整理を行った。「台北文壇と山形地域文壇との関係」に関しては、山形県立図書館等で大正末期から昭和戦前の時期に山形県内各地域で刊行された詩歌誌の調査を行い、鈴木健太郎・齋藤禮助・真壁仁及び後年台北で文学活動することとなる長崎浩を中心にその活動について整理するとともに、東北各県・新潟県での調査によって山形県を中心とした同時期の地域的文学コミュニティー相互のネットワークについての考察も行った。平成22年度以降各地域の文学コミュニティーとの関係を含めて山形県詩歌壇の基礎資料を公刊するとともに、その台北文壇との関係についてさらなる調査分析を行う予定である。「「満洲国」を中心とした詩歌交流」・「中華民国(日本影響下地域)を中心とした文壇交流」に関しては、大阪府・岡山県等の調査によって中華民国(注精衛政権下)・関東州・「満洲国」まで広がりをもった豚詩社とその周辺の詩人の活動状況について基礎的な調査を行った。平成22年度以降これら研究をそれぞれ発展させていくことで、近代日本の植民地下(及び日本影響下地域)と日本「内地」各地域間で広範囲に展開された「草の根」文学交流の様相を明らかにできるものと考えている。なお、本年度発表した「金川中学校から見える「都市」、岡山と東京と-張文環・岡山時期の学籍問題を出発点とした台湾人内地地方留学生の意識をめぐる論考」は、台湾出身の作家張文環・呉新栄の岡山内地留学時代の事跡について考察したものであり、本研究に関わる副次的な成果である。
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