2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域文学組織を基盤とした近代日本語文学圏の「草の根」文学交流研究
Project/Area Number |
21720075
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
藤澤 太郎 桜美林大学, 人文学系, 講師 (30406847)
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Keywords | 地方文学 / 台湾文学 / 関東州・「満洲国」文学 / 山形県文壇 |
Research Abstract |
平成23年度も平成22年度に引き続き、「台北文壇と山形地域文壇との関係」の問題を中心に、「旧「満洲国」を中心とした詩歌交流」・「中華民国(日本影響下地域)を中心とした文壇交流」・「朝鮮を中心とした詩歌交流」の三テーマを合わせた計四テーマについて研究を進めた。1.「台北文壇と山形地域文壇との関係」については、長崎浩に関わる調査を中心に山形・新潟・長野等関係地の県立図書館・市町村立図書館で複数回にわたる調査を行い、平成22年度までの調査と合わせて執筆に向けた基本軸となる部分についてほぼ調査を終えた。現在は地域的文学組織相互のネットワーク史を含み込んだ山形県詩壇史として時間軸に沿った基礎的論考を執筆している段階である。このうち戦前の部分については発表の準備をしているところであり、戦後の部分についてはその冒頭部分について「岩根沢文学誌稿-山形県のある詩人疎開地における文学的コミュニティの形成と展開」としてまとめた。 2.「旧「満洲国」を中心とした詩歌交流」・「中華民国(日本影響下地域)を中心とした文壇交流」については、戦前の同時代的な交流関係について調査を行うとともに、論旨の補完のためそれぞれの文学者の大陸に渡る以前と引揚後の交友関係と文学活動についても資料収集を進めた。今後はそれぞれの文学者の活動の母体となった各地域の詩壇・文壇との関係をふまえて論考をまとめていく予定である。3.「朝鮮を中心とした詩歌交流」については、歌誌『ポトナム』の調査を戦前部分について終えた段階である。今後百瀬千尋等『ポトナム』関係者の調査を進めるとともに、『真人』の調査を進めることでまずは朝鮮歌壇を中心にしたネットワークについて基礎的な資料をまとめていきたいと考えている。なお、本年度編集発行した河原功著『台湾文学研究への道』(村里社)は本研究に関わる副次的な成果である。
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