2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期アテネ・フランセにおける文化的ネットワークとコミュニティの研究
Project/Area Number |
21720078
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮澤 隆義 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (70454006)
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Keywords | 日本文学 / 仏文学 / 教育社会学 |
Research Abstract |
2012年度は学会発表を1回行い、論文を2本発表した。2011年10月23日に早稲田文芸・ジャーナリズム学会において発表した「「本能」と「社会」一大杉栄・きだみのる・坂口安吾と「昆虫記」一」では、アテネ・フランセにおいて講師をしていたきだみのる(山田吉彦)を軸として、彼と関連のあった大杉栄・坂口安吾の思想について考察を加えた。また、その発表をもとに発展させた論文『早稲田現代文芸研究』第2号(2012年3月発行)に「「本能」と「社会」-大杉栄・きだみのる・坂口安吾における「虫」をめぐって-」を発表し、アンリ・ファーブル『毘虫記』の受容と「虫」という表象に関して、三者の異なる反応からそれぞれの「本能」観・「社会」観について述べた。また、「物語の[地盤」-柳田国男・きだみのる・坂口安吾をめぐって-」を『繍』第24号(2012年3月)に発表し、フランスの社会学の受容と同時にきだが影響を受けていた、柳田国男の民族学との関連について論じ、それと植民地主義の問題から浮かび上がってぐる「物語」という問題系と坂口安吾の「物語」観との関連について考察した。これらの研究を通じ、きだみのるというアテネ・フランセで活動した人物に焦点をあてることで、戦前における思想的・学問的な交流とネットワークの一端を明かすことができた。またアテネ・フランセに通った経験を持ち、小説家として活動した坂口安吾に関しても、フランス経由の社会学的思想の受容と関係があったことについて述べることがてきた。
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Research Products
(3 results)