2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720079
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Research Institution | Ohkagakuen University |
Principal Investigator |
寺島 徹 Ohkagakuen University, 保育学部・保育学科, 准教授 (30410880)
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Keywords | 連句評点集 / 中興期俳諧 / 樗良 |
Research Abstract |
江戸中期における連句研究へのアプローチとして、従来ほとんど注目されてこなかった地方系蕉門における連句評点集をとりあげ、京都、近江、伊勢、尾張、美濃関係の俳人資料をもとに調査・分析することとした。連句評点をとりあげた理由は、付合作法書などが機能しづらくなった江戸中期において、連句作品を分析する上で評語そのものが有効な視座になり得ると考えたからである。このような問題意識のもと、まず、連句評点集の所在地確認と探索、連句評点集の基本データの収集を行った上で、平成21年度は、とくに「逸漁文庫俳諧資料集」(天理図書館綿屋文庫等所蔵)の「1点巻集」における連句評点を中心に、マイクロフィッシュ、原資料にわたり調査・分析を行った。この調査をもとに、現在、伊勢俳人三浦樗良と、尾張俳人加藤暁台・武藤白尼・武藤巴雀との評の違いについて「取成付」「浮世風」「三句のわたり」などの論を中心に分析している。本研究の作業の流れとして連句評点集の書誌調査、評点の翻刻、評点の分析、評点のデータ化を企図しているが、本年度は、とりわけ伊勢の中興期俳人、三浦樗良による連句評点集の所在調査、および書誌調査(綿屋文庫、早稲田大学図書館中村俊定文庫、神宮文庫、藤園堂書店、柿衛文庫)に重点をおき、「三浦樗良の連句評点について」(蒼穹99号)と題して、評点(綿屋文庫蔵)を翻刻し発表した。あわせて、樗良周辺の伊勢俳人における評語についても、調査をつづけてゆく予定である。
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