2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720079
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Research Institution | Ohka Gakuen University |
Principal Investigator |
寺島 徹 桜花学園大学, 保育学部・保育学科, 准教授 (30410880)
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Keywords | 連句評点集 / 俳諧 / 中興期俳諧 / 暁台 |
Research Abstract |
中興期の連句評点について美濃派・伊勢風の資料を中心に調査・分析を行った。昨年度にひきつづき、天理大学附属天理図書館、国立国会図書館、財団法人柿衞文庫、早稲田大学中央図書館、国文学研究資料館などで連句評点および俳諧資料について書誌的な調査をした。今年度は、これらに加え、名古屋市博物館の俳諧資料についても調査を行った。とくに、近年、名古屋市博物館に収蔵された山口家文書の書簡資料13点を調査し、付帯する連句評点についても調査分析した。山口家資料は、戦前の石田元季氏「暁台の書簡」(『俳文学考説』)において紹介されたもので、内容についてはすでに知られていたが、今回の収蔵品を調査することによって、真蹟の書体を確認することができた。山口家文書の暁台書簡は、安永前期から寛政期にかけてのものが多く、壮年から晩年の書体の推移についてうかがうことが可能となった。とりわけ、寛政初年と推定される墨山宛の暁台書簡には、連句評点2巻が付帯されており、句ごとの判詞と書簡における連句作品への総評というレベルの異なる評価を分析することができ、有意な資料といえる。同資料を分析することにより、「貞享風」「元禄風」などの風体と個別の作品の関係について探る糸口を見つけることができた。また、評点の判詞と伝書の影響関係を調べるために、『白砂人集』などの連歌伝書の調査を行った。『俳諧新々式』『白砂人集』の諸本について、藤園堂文庫、相模女子大学附属図書館、財団法人柿衞文庫、天理大学附属天理図書館などで調査を行い、写本の系統と版本の流布状態について考察した。以上の調査、分析の成果を「加藤暁台の書簡と連句評点について」(連歌俳諧研究122号)、「日人稿「暮雨句集」について」(桜花学園大学人文学部研究紀要14号)等にまとめ、発表した。
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