2011 Fiscal Year Annual Research Report
魔術的リアリズムの表象研究-ポストモダニズム、ポスト植民地主義、アメリカニズム
Project/Area Number |
21720090
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
山口 和彦 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20361214)
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Keywords | 魔術的リアリズム / ポストモダン小説 / 現代アメリカ小説 / ポスト植民地主義 |
Research Abstract |
サウンディングズ英語英米文学会(於上智大学)におけるシンポジウム「アメリカンロマンスの系譜」(司会・講師)における研究発表(ジョン・バースの小説について)を行った。魔術的リアリズムだけでなく、アメリカ小説におけるファンタジーや反リアリズムについて扱った本シンポジウムを通して、魔術的リアリズム(およびファンタジー)の裏返し(あるいは共犯関係)としてのアメリカ小説の伝統という観点から、アメリカ文学史における位置づけについて考察することができた。平成24年12月には、本シンポジウムをもとにした論集(共著)が刊行予定である。また、前年度に行った米国比較文学会における研究発表「Confronting the National History in the Post Cold War Context: "Heterogeneous Space" in Haruki Murakami's Fiction」(村上春樹の魔術的リアリズム小説における暴力と倫理的主体の表象の問題を、グローバリズムやポスト植民地主義的見地から考察したもの)の議論を発展させ、大学紀要(『東京学芸大学紀要』人文社会科学系I)に発表した。当該論文では、「空間」「暴力」「生-権力」といった観点から、村上春樹の小説における魔術的リアリズムの語りの戦略には近代国民国家の孕む諸矛盾と交渉しつづけようとする著者の倫理的姿勢が表明されていることを明らかにした。
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