2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720091
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小澤 英実 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 講師 (00466913)
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Keywords | 英米文学 / 身体論 |
Research Abstract |
本年度は、日米の演劇作品における身体のリアリティを措定するという研究目的を踏まえ、60年代のアメリカ前衛演劇における文献精読を集中して行ったほか、チェルフィッチュを初めとする東京を拠点に活動する劇団の発表する作品群および、それにかんする批評・国内外の記事・観客の反応をふまえ、諮問機関への非公開報告書として提出した。また、ジェンダー・コンシャスな制作をおこなう日本の劇団「指輪ホテル」とトリスタ・ボールドウィンによる日米共同制作作品『雌鹿』や、フェミニズム演劇の重要作品であるイヴ・エンスラーの『ヴァギナ・モノローグ』の日本公演に翻訳者として参加し、制作者との討論をもとに、日米の劇作家における言語と身体性への捉え方の差異についての新たな知見を得た。以上の活動の成果は、次年度に論文として発表する予定である。本年度の研究の具体的な成果としては、現在までにおける日本の小劇場演劇の状況を概観し『舞台芸術』誌に発表した。これは現在の小劇場演劇の取り組みが、インターネットなどの諸メディアといかに連関しているかを分析し、演劇をより広汎な社会的コンテクストに付置したものである。また年度後半には、現代のアメリカにおける言語と身体の状況を探るため、9.11において世界貿易センタービルから落下した人々の身体に焦点をあて、アメリカの現代文学やグラフィックノヴェルなど複数のジャンルを横断し、言語と身体の物質性が諸作品においてどのように表象されたのか、言語で表象された身体のもつリアリティの問題を考察し、『アメリカ研究』誌に発表した。
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