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2009 Fiscal Year Annual Research Report

アイルランド独立黎明期および1970年代以降の女性作家作品における男性の表象

Research Project

Project/Area Number 21720099
Research InstitutionKitasato University

Principal Investigator

市山 陽子  Kitasato University, 一般教育部, 講師 (50458741)

Keywordsアイルランド文学 / 男性像 / Kate O'Brien / Edna O'Brien / The Field Day Anthology of Irish Writings
Research Abstract

本年度はアイルランドの大学等への資料収集および閲覧およびアイルランド文学における正典(キャノン)的存在であるThe Field Day Anthology of Irish Writings I~Vに掲載された作家および作品について分類を行うことができた。
第一に、資料集に関しては発禁処分を受けたKate O'BrienおよびEdna O'Brien両作家の作品の初版本の入手は非常に難しくアイルランドコーク大学(UCC)等現地の図書館であっても寄贈本がわずかに残っているだけで、保存状態も悪い場合が多いということが判明した。しかしアイルランドでは個人で所有されている状態のよい初版本があることがわかり、数点を入手することができ装丁や内容などから当該作品に対する評価の推移の理解に役に立った。特にKate O'Brienに関しては発禁処分前と後の作品で違いが際立っており、また1960年代ころからは多数のエッセイがアイルランドの新聞に掲載されるなどアイルランド国内での評価に変化があったこともわかった。今回は直筆原稿や手紙なども閲覧し、発禁処分により精神的にだけでなく経済的な困難があったことも判明した。
第二にThe Field Day Anthology of Irish Writingsに編纂された女性作家小説は質、量共にI~IIIとIV、Vでは際立った違いを見せていることが分かり、特に男性像は神話的ともいえる英雄のような強い男性ではなく女性的な表象がIV、Vに編纂された作品の男性に多くみられた。特に上記の二作家の作品がIV,Vにおいて初めて掲載されたことは両作家のアイルランド国外での評価の点からだけでなく作品に描かれる主人公の女性たちを取り巻く男性像の点からも意味深い。二作家の作品にはアイルランド憲法が規定する「家庭を守る頼りがいのある稼ぎ手」からは程遠い男性が多数登場しておりこうした描写も発禁処分の決定の一要因になったのではとの仮説を裏付けるものであった。今後はさらに分析の対象に同時代の他の女性作家作品を加える必要があると言える。

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Published: 2011-06-16   Modified: 2016-04-21  

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