2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720104
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
塚田 幸光 Kwansei Gakuin University, 法学部, 准教授 (40513908)
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Keywords | へミングウェイ / プロパガンダ / 視覚文化 / 映画 / 表象 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀アメリカを代表する作家アーネスト・ヘミンクウェイの文学と、1930年代の視覚メディアの「政治性」に焦点をあてている。 まず、ヘミングウェイ文学に関しての成果は、『メディアと文学が表象するアメリカ』(英宝社、2009年)に寄稿した論文「エレファント・イン・ザ・ズーへミングウェイとターザンの「アフリカ」-」があげられる。1930年代におけるへミングウェイ研究では、「アフリカ・サファリ」と「スぺイン内乱」の考察が不可欠である。この論文は、「アフリカ」をめぐる作家の想像力のあり方と、同時代のメディア・イメージとの交点を探るものであり、アメリカの欲望が投影された「アフリカ」の意味を、同時代のナショナル・アイコン、ヘミングウェイとターザンというメディアの寵児を通じて分析した。「スぺイン内乱」に関しては、へミングウェイが書いたジャーナル「北米新聞連盟」の記事の分析を中心に、戦争表象から見えてくる政治性を考察した。この記事は、ドキュメンタリー映画『スぺインの大地』と同時進行で書かれている。これにより、「イヴェンス書簡」を分析する上で不可欠である記事の整理を終了した。 さらに「メディア研究」に関しては、第二次大戦期の映画/映像における戦争表象を考察した。特に、映画の「戦争表象」に関しては、拙著『シネマとジェンダーアメリ力映画の性と戦争』(臨川書店、2010年)の第2章で詳しく論じている。ここでは、映画が「弾丸」として、映画人が「軍人」として戦時協力を余儀なくされた時代、映画が如何なる意味を有し、戦時協力とは何であったのかを考察した。当然のことながら、この時代はへミングウェイの生きた時代であり、彼の文学と無縁ではない。 このように、文学と映画/メディアの戦争表象を探ることで、そこに潜む政治学を考察した。
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Research Products
(6 results)