2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける白居易受容の諸相と日中独自文化の形成に関する研究
Project/Area Number |
21720122
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
陳 〓 Kyushu University, 人文科学研究院, 専門研究員 (50457412)
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Keywords | 中国文学 / 中国文献学 / 日中中世文献交流史 / 白居易 / 白氏文集 / 文選集注 / 普陀山 / 大江匡衡 |
Research Abstract |
本課題研究は、東アジア文化研究において最も重要なテーマである「東アジアにおける白居易受容の諸相と日中独自文化の形成」を研究課題とし、東アジアにおける白居易研究の変遷の歴史及び『白氏文集』受容の歴史を体系的に跡付けつつ、日中間において異なる白居易学が形成された最も根源的な原因を明らかにし、さらに東アジア文化圏という広い視野から、日中独自文化の形成における経緯を整理し、その背景にある両国知識人の文字観・歴史観・価値観の異同を見極めようとするのである。初年度としては、『白氏文集』と関連する基本的な資料の整理に力を入れ、次のような研究活動を行ったのである。(1)九州国立博物餌所蔵の「唐詩残巻、紙背白氏長慶集第廿二」(重要文化財)や旧金沢文庫蔵旧鈔本『白氏文集』(重要文化財)などの、日本現存する『白氏文集』伝来初期の実態を反映する旧鈔本の研究を行い、七十巻本『白氏文集』の伝来及びその日本での伝承は、会昌の廃仏及び禅宗の東漸と深く関連しているということを明らかにした。その研究結果の一部を、すでに中国の復旦大学中文系の招待講演会に発表し、今後、論文として公刊する予定があります。(2)白居易や元〓の佚文及び散逸資料の収集と考証を行い、テキストとしての『白氏文集』及び『元氏長慶集』の補完を行なった。その成果の一端を、すでに論文として日本の『白居易研究年報』や、中国の『文学遺産』などの学術誌に公刊した。(3)『白氏文集』周辺資料め整理の一環として、平安貴族の教養書として『白氏文集』と肩を並べる『文選』の研究も行なった。その成果として、現存作者と成立時期が不明になっている旧鈔本『文選集注』(国宝)は、大江匡衡の著作であるという新たな事実を明らかにした、口頭発表や論文を通して日中両国の学界に発表した。(4)中国各図書機関所蔵する白居易関連の文物・石碑・文献の調査と分析を行なった。
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