2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720124
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大岩本 幸次 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 准教授 (10336795)
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Keywords | 明代 / 類書 / 音韻史 |
Research Abstract |
平成20年度は、明代の末期に登場したと推測される類書資料である『正音郷談雑字』(一名を『什音全書』という。編者・成立年ともに未詳)および『群珠六言音義』(謝栄登による編纂。明末という以外、確かな成立年については未詳)に着目し、以下に述べる二つの作業を並行して行った。 まず『正音郷談雑字』については、現時点で存在が確認される数種のテキストを所蔵機関に赴いての複写申請、あるいは影印本の購入の形で入手し、主としてその校勘作業に従事した。現在その存在が知られるテキストとしては、国立公文書館に所蔵される抄本が二種、早稲田大学図書館に所蔵される抄本が二種、ハーバード大学の燕京図書館に所蔵されるという刊本が一種ある。これらの内容を相互に比較・検討し、全体テキストの確定を行い、また付随して収録されている語彙や、語彙の多くに付けられている音注についても整理を進めた。 次に『群珠六言音義』について、国内および台湾において関連の資料を実見したが、現在までのところ国立公文書館に所蔵される刊本以外に同内容のテキストが見つからず、この公文書館本に基づいて序文や歌訣部分の検討を行い、また書の後半に設けられている、同音字をまとめた韻書(音引き字書)のような様相を呈する箇所について、その表す言語音体系を窺うため基礎的な整理を行った。 二種いずれについても21年度の前半には結果をまとめ、最終的には論文等の形で成果を公表したいと考えている。
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