2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720124
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大岩本 幸次 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (10336795)
|
Keywords | 韻書 / 字書 / 類書 / 元代 / 明代 |
Research Abstract |
23年度は個々の海篇類字書について種々のデータを取る作業を行うのに並行して、江戸時代の儒学者である毛利貞齋により元禄西(一六九一)年に成立したとされる字書『増続大広益会玉篇大全』(以下、『玉篇大全』と称す)の内容について検討を行った。明治四十四(一九一一)年に至るまで各種版本の開版を重ねた、毛利貞齋の代表作ともみなされているこの資料には、全一〇五種の先行資料が引用されると目録に記されているが、実際にはその全てが引用されているわけではなく、また、一つの資料が複数の資料として引かれる、あるいは逆に二種の資料が一つの資料として引用される、といったケースも見受けられた。こうした点は本邦において中国字書をどのように受容したかといった、江戸時代に流通していた小学書の受容状況の一端をうかがう上でも興味深いものであると考えられる。また、この『玉篇大全』には海篇類も多く引用されており、その中には現存する種類のもの以外の書名が含まれている。これは海篇類の系譜を考える上でも貴重な資料とみなすことができるため、その引用内容を整理する作業を行った。これら海篇類の引用に関する具体的な検討は、現存する海篇類の内容とも併せて、今後に、詳細な検討を行っていきたいと考えている。その他、元代め韻書である『書学正韻』について従来の研究内容に補正を加え、またこの『書学正韻』に影響を与えた金代の『五音集韻』(一二〇八)に関係を有すると目される資料である『皇極経世解起数訣』「声音韻譜」についての論考を公表した。 (約650字)
|