2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
緑川 英樹 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30382245)
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Keywords | 宋詩 / 梅堯臣 / 欧陽脩 / 蘇舜欽 |
Research Abstract |
本年度は、計3年間にわたる当該研究の最終年度にあたる。北宋中期における酬唱詩(唱和・贈答・聯句)作品の整理・解読を継続するとともに、具体的には以下の3点を中心に研究を進めた。 (1)梅堯臣・蘇舜欽研究論著目録の作成。これまでの資料収集作業の成果として、20世紀以降(2010年迄)の国内外における梅尭臣と蘇舜欽関連の先行研究の文献目録を作成し、宋代文学研究の学術雑誌『橄欖』誌上に掲載が確定している。 (2)欧陽脩の韓愈詩受容に関する研究。夷陵に左遷された時期における欧陽脩の文学活動について、中唐の詩人韓愈の嶺南体験と比較したうえで、特に中央政界復帰後に書かれた「山を憶いて聖兪(梅堯臣)に示す」詩には夷陵期の文学的総括とともに、韓愈の「南山詩」への同化意識が現れていることを考察した。なお、本研究に関連する仕事として、『韓愈詩訳注』第一冊(共訳)の刊行作業が進行中であり、その「韓愈集版本・注釈概説」を担当執筆した。部分的ではあるが、欧陽脩ら宋代文人における韓愈詩受容のありかたにも論及している。 (3)蘇舜欽・蘇舜元兄弟の聯句創作に関する研究。前年度に作品そのものの解読作業はほぼ終了し、学術論文としてまとめる段階に入っていたが、対西夏戦争を含む当時の政治状況と聯句創作という個別的な問題のみならず、中唐から北宋にいたる聯句様式の演変という、より大きな視座からの考察を加えて、大幅な修正をおこなった。平成24年度中には、国内の学術雑誌に発表する見込みである。
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