2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720128
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
奥田 博子 Nanzan University, 外国語学部, 准教授 (10343063)
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Keywords | ヒロシマ / ナガサキ / 原爆 / 記憶 / 記念碑 / 歴史 / 核兵器 |
Research Abstract |
米国コミュニケーション研究者のグッドナイト教授とともに、ネバダ州ラスベガスにある原爆試験博物館を訪れた。米国エネルギー省管轄下にある博物館では、1950年代の"Atomic Culture(原爆文化)"に象徴されるように、核技術の開発がエンターテイメント産業と結びつけられ、米国の「平和」と「繁栄」が強調されていた。隣接する図書室で、ネバダ核実験場で行われた数々のビデオ映像や原子爆弾及び核兵器の実験成果に関する地元紙と全国紙の新聞報道を閲覧することができた。また、専門職員の方から博物館に保存されている資料検索方法やそこにはないが米国国立公文書館に保存されている資料検索方法等について詳細な説明を受けた。今後の米国政府関連資料の収集を進めるうえで、有意義な調査研究であった。 首都ワシントンDCでは、グローバリゼーションのなかで、スミソニアン国立航空宇宙博物館・本館と別館及び国立アメリカ歴史博物館の「内向き」志向の歴史観、そしてホロコースト記念博物館のユダヤ人の歴史と記憶の「アメリカ化」は興味深いものがあった。とりわけ、日系アメリカ人記念碑との位置関係は記憶の中心と周縁、さらには今後の上院・下院での公聴会に関する文書収集をする上で大変参考になった。 さらに、長崎被災者協議会の会長である谷口稜嘩氏に直接お会いして、来る5月のニューヨークで開催される国連軍縮会議に向けての被爆者団体の行動や方針を伺う機会が持てたことは意義深かった。 本年度行った国内外での調査研究は、来年度以降に本研究成果を公表する学会発表、雑誌論文、そして図書を執筆するうえで、大変実りあるものであった。
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