2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720128
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
奥田 博子 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10343063)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 核 / ヒロシマ / ナガサキ / 歴史 / 記憶 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度である平成24年度は、研究調査を積み重ねるなかで日本の国是とされる「非核三原則」が沖縄の施政権返還をめぐる国会答弁において打ち出された歴史事実を実証的に検証することで、琉球/沖縄/オキナワから核時代のヒロシマとナガサキを批判的に捉えかえすことができた。その具体的な成果として、1972年5月15日の沖縄返還/本土復帰40周年を期して、著作を刊行したことが挙げられる。その過程では、1945年8月6日と8月9日に原子爆弾を投下された広島/長崎がヒロシマ/ナガサキとして敷衍されてゆく一方、「原子力」は「核」と再定義されて米国の拡大核抑止の最前線基地である沖縄に集約されてゆく歴史的な経緯を反芻することが促された。 次に、東京電力福島第一原発事故から一年余を経た<いまここ>から、当初、フクシマからヒロシマ/ナガサキに想いをめぐらす輪が拡がりを見せたものの、現在、希薄化してしまった。その原因を探究するため、2011年12月16日に野田佳彦首相(当時)が記者会見において「収束宣言」を発表した政治パフォーマンスを批判的に分析した。その結果を学会において発表し、その後、研究論文として刊行した。 さらに、昨年度から推敲と校正を重ねてきた「原爆投下から65年を反芻するヒロシマ/ナガサキ」に関する研究論文を刊行することができた。編集者とのメール交換を通して、東北大震災の被災者かつ原発災害の被曝者であるフクシマに住む人びとを目の当たりにして、人類があらためて史上初めて核兵器に攻撃された「生き証人」であるヒロシマ/ナガサキの被爆者からなにを学ぶことができるのかが問われていることを実感した。本研究課題に向き合うなかで、「唯一の被爆国/被爆国民」を称する日本のエネルギー政策を支えてきた「原発(絶対)安全」というナショナルな神話を脱構築する必要性を考えさせられている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)