2009 Fiscal Year Annual Research Report
学際的アプローチによる中国-欧米間映画関係史構築に関する研究
Project/Area Number |
21720129
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
菅原 慶乃 Kansai University, 文学部, 准教授 (30411490)
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Keywords | 中国映画史 / 中国映画産業史 / 外国籍映画会社 / 映画制作会社 / 産業映画 / 中国人像 |
Research Abstract |
本研究は、従来の中国初期映画史の成果を継承しつつ、それが抱える三つの問題点(単眼的テーマ史に留まる傾向、分野的偏重、史料的拡がりと越境性の欠落)を克服し、美学史・産業史・制度史の各研究を融合させた学際的な視野から、中国と諸外国との総合的映画関係史の構築を目指すものである。今年度は、(1)本研究の根幹を成す映画産業史の基礎的研究、(2)アメリカの中国影画市場にかんする関心の所在の明確化、(3)上海における外国籍映画会社の基礎的研究、の三点に力を注いだ。以下、それぞれの概要を記す。(1)既存の研究が頻繁に参照する初期映画産業史関連資料(一次資料としては『中華影業年鑑』.『中国電影年鑑』、『中国影視大観』等の年鑑類や『申報』掲載の新聞記事、二次資料としては『中国電影発展史』、『中国無声電影史』等)の徹底的な再読作業を遂行した。そのうえで、中国の国産映画制作業の黎明期から1920年代までの間に、映画産業の中心であった上海において起業された映画制作会社数とそのバックグラウンドを可能な限り網羅的に整理し、制作会社起業数の年別推移を明かにした。その成果は別項の通り学術発表1本と論文1本にまとめた。(2)米国商務省上海オフィスを中心にまとめられた中国映画市場にかんするレポート類のうち1920年代~1930年代の文書を分析し、アメリカ映画が中国に進出する過程で関心を寄せていた事項(産業映画の振興、アメリカ映画における中国人描写)を明かにし、成果を別項雑誌記事としてまとめた。(3)1920年代より1940年代にかけて上海等都市部で現れた「外国籍」映画会社について、中国の雑誌記事、新聞記事、駐上海アメリカ領事館の関連文書の分析を通じて概要をまとめ、その登場の背景や目的について考察し、別項の通り学術発表を行った。
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Research Products
(5 results)