2010 Fiscal Year Annual Research Report
学際的アプローチによる中国-欧米間映画関係史構築に関する研究
Project/Area Number |
21720129
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
菅原 慶乃 関西大学, 文学部, 准教授 (30411490)
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Keywords | 中国映画史 / 映画産業 / 映画市場 / 地方映画史 / 南洋 |
Research Abstract |
本研究は、従来の中国初期映画史研究の成果を継承しつつ、学際的な視野から中国と諸外国との映画関係史を構築することを目指すものである。今年度はとくに1920年代の中国国産映画市場拡大過程の解明に重点を置いた。主な研究活動は(1)米国国立公文書記録保管局における資料調査、(2)上海以外の都市(主に天津、漢口、杭州、シンガポール)における中国映画市場形成に関する基礎情報の収集・整理、(3)研究成果の報告、の3点であった。以下、各点の概要と成果を記す。 (1):商務省内外通商局(RG151)の駐英領マラヤオフィスによる産業関連報告書、1930年代までの駐上海領事館(RG84)の領事書簡文書における映画関連文書等を中心に閲覧、複写した。特にRG84の領事書簡には、内外通商局発行のTrade Information Bulletinが特集した東アジアの映画市場特集号掲載のオリジナル・データと思われる極めて詳細な情報が含まれており、貴重な発見であった。 (2):『益世報』、『漢口民国日報』、『杭州民国日報』、『南洋商報』等の日刊紙に掲載された映画館広告の目録(1920年代後半のみ)を作成し、中国の国産映画が地方都市において形成したとされる配給・興行網の実態について調査を行った。 (3):上記の資料調査、分析を通じた研究成果を、香港浸会大学主催の国際シンポジウム「華語電影興行:方法与歴史的新探索」にて発表した。なお、このシンポジウムの予稿集は来年度に北京大学出版社より出版される予定である。 この他、本科研課題における研究成果にもとづき今年度発表した論文「1920年代上海の映画制作会社について」を中国語に翻訳した。これは、今後中国の学術雑誌へ掲載される予定である。
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Research Products
(4 results)