2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国語における可能表現研究-領属物としての能力の発現
Project/Area Number |
21720140
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝川 裕子 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (40377768)
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Keywords | 現代中国語 / 可能表現 / 能力 / 属性 / 動作の実現 |
Research Abstract |
平成23年度は、研究の総括として、<可能>のプロトタイプと拡張プロセスを示し、現代中国語における可能範疇の体系化を試みた。 まず、<可能>のプロトタイプを「動作・状態を実現する能力があること」と規定することにより、可能範疇において、まず<能力可能>が上位概念として存在し、そこから、<属性可能>、<条件可能>、<結果可能>、<認識可能>へとそれぞれ意味拡張していくことを指摘した。このように可能の意味を連続的に捉えることにより、これまで個別的な事象の指摘に留まっていた種々の可能表現に有機的な関連性を持たせることができる。 また、森田(1977)が「<可能>は<希望>の結論として存在し、"...したい"→"...することができる"と意思的にとらえるところに特色がある」と述べるように、日本語の可能表現は動詞の意志性に深く関わり、無意志動詞は可能表現に用いられにくいことが指摘されているが、現代中国語においても、助動詞"能"が表わす<能力可能>や<条件可能>、可能補語が表わす<結果可能>などにこのような傾向が見られる一方、<属性可能>を表す"会"はあくまでも領属主の属性としての「能力」が発現可能な状態にあることを表わすため、望ましくない事態を表わす動作・状態とも共起可能であることを明らかにした。 本研究で得られた成果は、論文にまとめ、『日中言語対照研究論集』第13号(査読付き、2011.5)に掲載された。また、<〓〓 政法大学・名古屋大学共同日本学国〓〓〓 会>(於華東政法大学(中国上海)、2012.1.14)において口頭発表し、他研究者との意見交換を図った。 [引用文献]森田良行1977『基礎日本語I』
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