2010 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル語のテンス・アスペクトについての通時的研究
Project/Area Number |
21720145
|
Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
松岡 雄太 長崎外国語大学, 外国語学部, 講師 (40526688)
|
Keywords | モンゴル語 / テンス / アスペクト / 言語接触 |
Research Abstract |
本年度は、主に以下に挙げる二点の調査研究を行なった。 1)中国内蒙古自治区及び日本国内において、初年度から継続的に調査しているホルチン方言と併せて、チャハル方言、ハルハ方言を対象に試図的な聞き取り調査を行なった。その結果、一部のアスペクト形式(副動詞+suu-)の意味に方言差があり、本動詞が「補助動詞」になるいわゆる「文法化」の現象を反映している可能性が高いことが明らかになった。この調査結果は、本研究の中心的課題である「モンゴル語のアスペクトの通時的変遷」を明らかにする上で、非常に示唆的なデータを提供するものである。 2)系統論的にモンゴル語と同じアルタイ系だと言われ、また、清代を通じてモンゴル語と言語接触の関係にあったと考えられる「満洲語」のアスペクトに関する調査研究を行なった。満洲語の話し手はすでに絶滅寸前であるため、本研究では、過去の文献資料を用いて調査研究を行なった。その結果、満洲語のアスペクトの文法化の程度が主節と従属節で差異があり、それが表記に反映されている可能性が高いことが明らかになった。この調査結果は、モンゴル語が満洲語と言語接触の関係にあったことを前提とすれば、モンゴル語のアスペクトの文法化を明らかにする上で、別の視点から重要な証拠を提供するものである。 以上の研究成果の一部は、次頁に示す研究発表において公表した。
|
Research Products
(4 results)