2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720149
|
Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
平 香織 Kanda University of International Studies, 外国語学部, 講師 (40389614)
|
Keywords | 朝鮮語 / 文末形態 / 終結語尾 / 心的態度 |
Research Abstract |
本研究では、(a)終結語尾と分析的な形の共起制約、(b)各終結語尾が本来持っている文脈的意味の把握・整理、(c)談話・語用論的機能からの考察という3つのアプローチによって、朝鮮語の終結語尾による「話し手の心的態度」の類型化を試みることを目的とする。 今年度は、終結語尾と「命題めあて」の分析的な形の共起関係について調査した。朝鮮語には命題に対する推測を表す形式がいくつか存在するが、その中の'-na pota'は終結語尾'-ci'と共起できるのに対し、'-1 kesita','-n kes kathta'は共起できないことが分かった。この観察は、『言語・脳・認知の科学と外国語習得』の中で触れた。なぜこのような共起制約が見られるのか、その理由の詳細な考察は今後の課題となる。 また、終結語尾'-ketun','-ney','-e','-ci'の機能の違いを考察するために、発話に至るまでの過程と各形態の用法を基にした独自の分類を試みた。分類の基準は、発話内容が「発話時に得た情報」か「発話時以前に得た情報」か、「聞き手への伝達意図」の有無、そして「伝達意図有」の場合にはその情報が聞き手に「属するか否か」に分けた。「発話時以前に得た情報」も「聞き手への伝達意図」の有無によって分け、「伝達意図有」には聞き手に情報が「有ると想定」「無いと想定」「考慮せず」の3つを設けた。これにより、これまで類似した機能を有するとされてきた形態の分類が一部可能となった。この観察は、日本言語学会第138回大会(神田外語大学)で発表した。また、上記(c)の談話・語用論的アプローチに備えた作業として自然会話データの収集を継続して行っている。
|