2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720149
|
Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
平 香織 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (40389614)
|
Keywords | 朝鮮語 / 叙述形 / 終結語尾 / 談話機能 |
Research Abstract |
最終年度に当たる平成23年度は、待遇法において最も低いレベルとされる下称の叙述形終結語尾'-ta'について考察した。'-ta'は書きことばだけでなく、話しことばでも使用される。既存の研究では話しことばで使用される'-ta'について、年齢・社会的地位において話し手よりも下の者に対して、あるいは親密度の高い間柄で使用されることが指摘されているのみで詳しい考察はほとんどない。そこで、21世紀世宗コーパスの話しことば資料を使って'-ta'が使用された発話を観察し、機能・用法別に「叙述」「瞬間的な発話」「意志の表明」に分類し、これらの談話的機能について考察した。 「叙述」で使用される'-ta'は、上昇イントネーションで発話することで、同一の話者が関連した内容を継続して発話することを聴者に予告する談話的機能が見られることを指摘した。次に「瞬間的な発話」に使用される'-ta'は、話者が視覚・聴覚を通して発話直前あるいは発話時に認知した事態を述べる時、また発話時における話者の内的状態を発話する時に使用されることが分かった。視覚・聴覚を通して認知した事態を発話する時に使用される'-ta'は、話し手が見たまま、聞いたままを描写するという特徴が観察でき、これは日本語で指摘されている眼前描写と類似している。最後に「意志の表明」に使用される'-ta'は、一方的で宣言的な意志を表し、話者と聴者の相互的な対話では使用が難しいことを指摘した。上記の内容は『韓国語学52』に投稿し、掲載された。 また、平成21年度から継続して自然会話の収集を行ってきたが、今年度は普通の談話だけでは出現しにくい終結語尾を多く収集できるよう、ゲームをタスクとした自然会話収集を試みた。
|