2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代の欧人基督教宣教師の訳著にみる中国語研究と異文化翻訳について
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21720151
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (10329592)
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Keywords | 近代西洋人の中国語研究 / 異文化翻訳 / 中国語訳聖書 / モリソン / メドハースト / ロプシャイト / 官話 / 中国語訳聖書の系譜 |
Research Abstract |
本研究課題は近代の欧人基督教宣教師による中国語及び中国文化等に関する著作における記述内容から、その中国語研究と異文化翻訳について考察したものである。 本年度(最終年度)は、中国語研究に関しては、モリソンの中国語会話教科書Dialogues and detached sentences in the Chinese Languages(Macao 1816)における記述を資料として、前年度に韓国で開催された国際シンポジウム「清代民国時期漢語国際学術研討会」での口頭発表の内容を基にして、モリソンの後続テキストであるメドハーストの著作と比較対照しつつ、西洋人宣教師が記述した「官話」の実像の経年変化について考察を行い、その成果を論文集に発表した。さらに、16世紀以降の近代西洋人の中国語研究の代表的著作に記述された「官話」の定義の変遷を時系列にまとめて分析し、その概念の変遷を詳細に跡付けるとともに、19世紀における官話の地域差を反映する泰西資料の一つとして、一連の各官話訳聖書(主として南京、北京、湖北)の資料としての有用性を指摘した。 異文化翻訳に関しては、ケンブリッジ大学図書館での所蔵が発見された中国語訳聖書の所謂『四史攸編』稿本について、昨年度から継続して、その他の稿本(大英図書館本、ローマカサナテンス図書館本、香港大学本など)と対照を行い、聖書の中国語訳の系譜に関する考察と学会報告を行った。また、本年度のケンブリッジ大学図書館での現地調査では、新たにモリソン自筆の香港大学本を筆写した後続の稿本を閲覧調査することができた。今後、この調査内容を元に新たな考察を行う予定である。これとは別に、モリソン訳『神天聖書』の本文中で使用された白話虚詞の特徴についても論文にまとめた。 これら一連の研究の成果については「研究成果報告書」にも記載の通りである。
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