2009 Fiscal Year Annual Research Report
シュメール語動詞接頭辞の形態論的研究-前三千年紀後半~二千年紀前半の資料分析
Project/Area Number |
21720155
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
森 若葉 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, プロジェクト上級研究員 (80419457)
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Keywords | シュメール語 / 言語学 / シュメール学 / 動詞接頭辞 / 形態論 / 楔形文字 |
Research Abstract |
シュメール語動詞接頭辞の形態論的分析を行うために、研究代表者がこれまでおこなってきたシュメール語の動詞についての研究をもとに、前三千年紀後半~前二千年紀前半におけるシュメール語の動詞接頭辞の用例収集をおこなった。そのうえで、動詞語基ととりうる動詞接頭辞の相関関係の整理作業、複雑な構造をもつ動詞接頭辞の形態素を分析している。 具体的には、あらたな資料調査としては、テヘランにあるイラン国立博物館で襖形文字文書の予備調査および今後の研究打ち合わせをおこなった。この調査は、イランの大統領選挙後の政治情勢から予定していたより期間を短縮せざるをえなかったが、所蔵資料の内容を確認し、2010年度以降の本格調査の準備をおこなうことができた。また、すでに公刊されている資料については、出版された資料から記述をまとめる作業によって研究をすすめ、その成果の一部については発表をおこなった。 これまで収集したデータから、死語化したのちの前二千年紀と話し手のいた前三千年紀資料における、データの共通点および相違点があきらかになってきた。これらについて、前二千年紀資料が文学作品であり、前三千年紀資料が主として経済文書や王碑文、法律文書であるといった資料の違いを考慮に入れながら、現在さらに分析中である。シュメール語における方向動詞と動詞接頭辞の関係はとくに注目すべきものである。シュメール語動詞における方向表現の特徴の一端もあきらかになりつつあり、こちらについても口頭発表および論文発表の準備をすすめている。
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