2009 Fiscal Year Annual Research Report
心的過程に着目した属性叙述構文の体系的記述に関する研究
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21720158
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
澤田 浩子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (70379022)
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Keywords | 属性叙述 / 構文 / 日本語 / 自然会話 / 属性認知 / 名詞述語文 / 二重主語文 / 所有構文 |
Research Abstract |
21年度は本研究課題の初年度として,22年度以降の研究の土台作りをすることを最優先課題とし,文レベルで観察できる文法現象の記述にとどめて研究を進めた。主に名詞述語文と二重主語文の分布を比較し,日本語において人物の「部分」(身体部位など)に関する属性を表す場合には二重主語文が優勢で,かつ無標の構文であるが,人物の評価に直接関わる「性格」「顔立ち」などの属性を表す場合には,二重主語文よりも名詞述語文が優勢で無標の構文となることを,作例・コーパスを用いて明らかにした。このことは,どちらの場合も二重主語文が優勢である中国語と比較することで,より明確な日本語の特性として指摘することができた。上記の研究成果は口頭発表1件(2010年3月)を通じて公表し,また,これに所有構文の記述を含めた研究成果を22年度刊行予定の学術論文・図書等で公開するよう準備を進めている。また,構文の記述的研究と並行して,社会心理学領域の属性認知に関する文献,特に「対応推論理論」,「ネットワークモデル」,「スキーマモデル」に関連する近年の研究の動向を収集した。 さらに,属性叙述に関わる構文を動態的な認知過程の中で観察するための自然会話データベースについては,22年度以降に本格的に収録を開始する準備的段階として,21年度はインフォーマントの募集と選定,収録のプランニングを行った。また,試験的に収録を開始しており,約12時間の複数人(2~8名)による会話の映像・音声データを得た(これらは22年度以降の収録データとあわせて,WEB上で公開する予定)。
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