2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720162
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
吉田 永弘 國學院大學, 文学部, 准教授 (30363906)
|
Keywords | タメニ / 目的表現 / 原因・理由表現 / 従属節 / 連体法 / 文法史 / 文体史 / 中世語 |
Research Abstract |
本研究は,古代語の原因・理由表現を中心とした従属節の変遷を,文大差に考慮して考察することを目的としている。 本年度は,目的表現のタメニについて,昨年口頭発表した際に指摘を受けた(1)データの問題(2)分析方法の問題(3)他の形式との関係について,おもに(1)に重点を置いて研究を行った。 まず,(1)のデータについては,上代から近世までの作品を対象とし,口語体の資料・文語体の資料の双方に目配りをしながら,データを蓄積した。索引のない作品については,今後の研究にも使えるようにデータベース化を行った。その結果,十分とは言えないが,歴史的な流れが把握できる程度にはデータを集めることができた。 次に(2)の分析方法については,文体の問題と文法の問題を峻別して考察した。文体は,タメニの用法は文語体の資料を中心に用いられているので,口語体の資料との用法差に着目した。用法差は構文レベルに見られ,また,口語体資料よりも文語体資料に新しい用法が見られることに気づいた。文法は,従属節の変化に着目していたが,主節にも着目する必要がでてきた。 (3)の他の形式との関係については,ユヱ・ニヨリテと相補的な分布などの見通しは立ったが,現時点では調査と考察がまだなお不足しているため,来年度の課題としたい。 以上を踏まえて、今年度の成果を活字にまとめ,来年度発表する予定である。また,来年度は(3)を中心として考察し,あわせて,あらたな問題として主節の用法にも目を向けていく予定である。
|