2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21720162
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
吉田 永弘 國學院大學, 文学部, 准教授 (30363906)
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Keywords | 文法史 / 文体史 / 原因理由表現 / 目的表現 |
Research Abstract |
本研究は、古代語の原因・理由表現、目的表現を中心とした従属節の変遷を、文体差に配慮して考察することを目的としている。 本年度は、原因・理由表現と目的表現に関わる「活用語+タメニ」の構文について、初年度から継続して行ってきた研究を論文「タメニ構文の変遷-ムの時代から無標の時代へ-」(青木博史編『日本語文法の歴史と変化』ひつじ書房)にまとめた。 この論文は、タメニの上代から近世に至る資料を調査し、<目的>を表す場合とく原因>を表す場合の構文を観察し、現代語の構文へ移行する時期とその要因について探ったものである。明らかになった点は次の通りである。 1,古代語のタメニは漢文調・文語体の資料に用例が偏る。 2,古代語の<目的>は「意志性述語+ム+(ガ)+タメニ」の構文で表し、<原因>は「無標形+タメニ」の構文で表す。 3,中世から近世にかけて<目的>に「意志性述語の無標形+タメニ」、<原因>に「意志性述語+過去辞+タメニ」の構文が現れ、現代語の構文と同様になる。 4,変化の要因は、ムの衰退した領域に無標形が侵出したことが挙げられ、その背景には事態の実現・未実現に対する把握の仕方の変化がある。 以上の研究を踏まえて、従属節の変化と主節の変化との関係に着目する必要が生じたので、次年度はその問題について究明していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タメニ構文の変化とその要因について、まとめることができた。その結果、従属節の変化と主節の変化が密接に関わっていることがわかり、主節の変化にも着目する必要が生じ、計画以上の課題に取り組むことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
主節の変化として、ム形と無標形の問題の究明にとりかかる。その契機として、「る・らる」が可能を表す場合に着目して、主節の変化という観点から史的変遷を考察する。
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Research Products
(4 results)