2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本語諸方言における否定疑問形式の終助詞化に関する記述的研究
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21720165
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 千恵 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50454591)
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Keywords | 方言 / 終助詞化 / 否定疑問形式 |
Research Abstract |
本研究は、否定疑問形式に由来する日本語諸方言のモダリティ形式に焦点を当て、各形式の用法を包括的に記述し、それぞれを対照させることで「否定疑問形式の終助詞化」という文法化現象の一類型を提示しようとするものである。本研究では対象を長野市・大阪市・鳥取県米子市・高知市・宮崎市の各方言としている。これは、否定疑問形式由来のモダリティ形式の存在がすでに指摘されている方言であることによる。本研究では、各地点においてフィールドワークを実施し、それぞれの形式の記述を行う。また並行して、否定疑問文やモダリティに関する標準語研究の成果を整理し、対象方言以外の方言における否定疑問形式のふるまいについても情報収集を行う。 4年計画の3年目である平成23年度は、前年度に引き続き、取り立て否定形式の文法化現象と否定疑問形式の終助詞化との関連について考察を行った。また、同意要求表現がもつイントネーションの特異性・普遍性という観点から音声研究者と共同研究を行い、その成果の一部を日本音声学会第323回研究例会のシンポジウム「日本語諸方言における同意要求表現とその音調の諸相」にて発表した(2011年6月、於山梨大学)。年度の後半には、専門的知識をもつ宮崎市方言話者の協力を得て、当該方言の終助詞コッセンの記述を行った。さらに、次年度に向けて、長野市にて終助詞シナイに関する準備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、対象とする五つの方言(長野市・大阪市・鳥取県米子市・高知市・宮崎市)のうち、高知市方言をのぞく4方言については本年度までに臨地調査を終える予定であった。しかしながら、22年度において、雪害・口蹄疫による被害・新燃岳の噴火といった自然災害によってフィールドワークが実施できなかったことが影響し、進行にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる本年度は、長野市方言および鳥取県米子市方言のフィールドワークを優先的に実施し、それぞれの方言に否定疑問形式由来の終助詞について、その意味用法の記述を行う。年度の後半には高知市方言についてのフィールドワークを行い、それぞれの記述を対照させることで否定疑問形式の終助詞化プロセスについて考察を行う。
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Research Products
(1 results)