2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720167
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Research Institution | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
Principal Investigator |
小椋 秀樹 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語資源研究系, 准教授 (00321547)
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Keywords | 国語学 / 文字 / 漢字政策 |
Research Abstract |
国立国語研究所が実施した現代雑誌90種調査(調査対象は1956年刊行の雑誌90種。以下,90種調査。)・現代雑誌70誌調査(調査対象は1994年刊行の雑誌70誌。以下,70誌調査。)を基に,当用漢字表時代・常用漢字表時代の漢字使用の実態を明らかにするための漢字頻度表・音訓頻度表を作成した。 90種調査については,国立国語研究所報告22『現代雑誌九十種調査の用語用字(2)』所収の「用法別漢字表」を外注により電子化を行い,漢字頻度表・音訓頻度表にまとめ直した。70誌調査については,この調査結果を基に文化審議会国語分科会の審議資料(『現代雑誌の漢字調査(頻度表)』,『『現代雑誌の語彙調査』に基づく音訓一覧表』)を作成した際の電子データを活用して,漢字頻度表・音訓頻度表にまとめ直した。 これら頻度表は,比較対象をしやすいようにリレーショナルデータベースに登録した。 上記頻度表を基に,当用漢字表時代及び常用漢字表時代における漢字の使用実態を記述するとともに,その結果を比較することで,当用漢字表時代から常用漢字表時代にかけて漢字使用にどのような変化が生じているのか検討した。その結果,常用漢字表に新たに追加された「塔」「肌」「猫」「缶」「羅」「枠」の頻度が,90調査よりも70誌調査で高くなっていることが明らかとなった。また,当用漢字補正表で削除候補とされた「箇」「附」は,90種調査で1000位以内に出現していたが,70誌調査では,1501位以下となっている。これは,新聞における「箇」→「個」,「附」→「付」という書き換えが広く定着したことによると思われる。なお,「燈」は常用漢字表で字体が「灯」に変更になったことに伴い,頻度に低下が見られた。
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