2011 Fiscal Year Annual Research Report
公共情報媒体としての広報紙を対象とした表記法の在り方に関する研究
Project/Area Number |
21720170
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
齋藤 達哉 専修大学, 文学部, 准教授 (90321546)
|
Keywords | 表記 / 仮名 / 漢字 / 公共情報媒体 / 公用文 / 広報紙 |
Research Abstract |
本年度は,市区町村の発行する広報紙を公共情報媒体(多数の人の目に触れることを前提として発行する文書)として捉え,そこで用いられる機能語(原義の実質的な意味が薄れがちな副詞・連体詞・接続詞等)について分析を行った。どのような語がどのくらい用いられるかといった「語の出現傾向」及び語の表記において仮名表記,漢字表記がどのくらいの割合になっているかといった「語の表記の実態」について研究を行い,以下の成果を発表した。 1.調査によって蓄積してきた用字に関するデータ(異なりで147語,延べで10,879用例)について,言語研究の資料とすることを前提としつつ,市区町村の広報の現場への研究成果の還元も視野に入れ,『広報紙副詞用字用例集』(平成21年1月,科研費報告書として印刷)を取りまとめた。 2.サンプリングに拠って収集した104市区町村の広報紙を対象とした実態調査及び編集担当者へのアンケート調査に基づき,副詞等の出現傾向及び表記の揺れの有無について分析を行った。その結果以下のことが分かった(論文「市区町村広報紙の副詞と用字」(『人文論集』第90号,平成24年3月)として報告)。 (1)広報紙のタイトルは親しみやすいイメージを持たせるために仮名表記が好まれる傾向にある。 (2)広報紙の副詞の用字を公用文の用字と比較すると,平仮名表記に傾斜しているものと,漢字表記に傾斜しているものとが見られる。 (3)広報紙を記事内容別に見ると,「注意喚起・呼びかけを目的とする記事」に特徴的な副詞は,漢字表記に傾斜していることがある。
|