2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720180
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Research Institution | Hokusei Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
前川 貴史 Hokusei Gakuen University Junior College, 短期大学部, 講師 (50461687)
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Keywords | 名詞 / 語彙意味論 / 統語論 / Head Driven Phrase Structure Grammar / 英語学 / 言語学 |
Research Abstract |
本年度は,英語と日本語の名詞が生起する統語構造に焦点を当て、Head-driven Phrase Structure Grammar (HPSG)の理論的枠組みによって,主要部名詞とその限定詞や補部との統語的関係、名詞の語彙的意味構造と統語構造との対応関係を明らかにする研究を行った。具体的な成果は以下のとおりである。まず神戸言語学研究会(京都:2009年5月24日)において、名詞の語彙的意味と統語構造との対応関係についての発表を行った。語彙意味と統語構造には密接な対応関係がある.とくに,語がどのような項をいくつ持つかという情報は,その語の語彙的意味によって大部分が決定される.先行研究においてはほとんど動詞のみがこのような観点から研究の対象となってきたが,動詞以外の語彙範疇についても同様の研究が可能であるはずである.そこで本研究では,名詞の項がもつ前置詞の種類が主要部である名詞の語彙的意味によって決定されると結論づけた。さらに日本言語学会第139回大会(神戸大学:2009年11月29日)において、英語の名詞の限定詞との統語的関係について、Word Grammar (WG)理論とHPSGの比較を行った。WGではすべての統語構造は依存関係によって記述され句構造を仮定しないが、本研究は、WGの分析には不備がありHPSGの分析のほうが適切であることを主張した。この結論が正しければ、統語構造の記述には句構造が必要であることになる。この研究に加筆訂正したものを、『北星学園大学短期大学部北星論集』に投稿し、掲載された。
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