2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習者に必要な話し合いのコミュニケーション能力の研究
Project/Area Number |
21720187
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池田 佳子 関西大学, 国際部, 准教授 (90447847)
|
Keywords | 言語学習 / 会話分析 / コミュニケーション能力 / 話し合い |
Research Abstract |
本研究では、日本語を第二言語(外国語)とする話者にとって積極的な会話参加はどのような状況下で困難または容易であるのか、そして会話の主導権を握るためにはどのような言語ストラテジーが必要であるのかを探求するために、学習者が参加する複数話者による会話行動の質的な分析を行った。検証を行うにあたり、学習者グループと母語話者グループに計5回(1回約30分)、様々な提示されたトピックについて話し合いをしてもらい、その談話資料をコーパスとして会話分析法を用いて検証を行った。分析の中で特に着目したのは(1)発話権取得に使用した言語・非言語リソース、(2)他者の発言を受けた際に行う聞き手としての言語・非言語ストラテジー、(3)発話取得後、自分の意見を展開する上で使用した言語表現、(4)意見が対立した際の反論を行う上で使用した言語表現の4つである。調査期間の中では、(3)と(4)ついて調査が進んだ。「~っていう気がする」「のかな、と思う」「~じゃないかって考えてしまう」などの、意見提示および反論場面における認知的語彙表現の使用の仕方について、母語話者データにおける特徴を考察することができた。今後の調査においては、学習者のケースを掘り下げて考察する予定である。加えて、今回の考察を行うにあたり、「伝達をする(コミュニケーション)能力」とはそもそも何か、どのようなリソースを用いて我々は相互行為的な伝達を行うのか、という問題にも敷衍することができた。このサブ・テーマを取り扱うために、話し合い場面の他に既存資料として持っていた「教室内活動の場面」なども加えてさらに検証を行った。考察点(3)でも述べたが、相互行為の場への身体的なリソースを用いた参加活動は、コミュニケーション能力の重要な一部である。L2能力に関する研究路線において忘れられがちであるこの側面をあえて取り扱い、分野に一石を投じられるよう尽力した。
|
Research Products
(4 results)