2010 Fiscal Year Annual Research Report
タスク前計画時間が初級・中級・上級英語学習者のスピーキング運用力に与える影響
Project/Area Number |
21720207
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
新多 了 名古屋学院大学, 外国語学部, 講師 (00445933)
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Keywords | 第二言語習得 / タスクを中心とした外国語教育 / 計画時間の効果 / 流暢さ・複雑さ・正確さ |
Research Abstract |
これまでタスクに関して様々な研究が行われてきたが、中でも最も盛んな研究分野として「タスク前計画時間の効果」がある。これまで多くの研究が目標言語使用国内(例えば英米に滞在する英語学習者)で行われてきており、日本のような外国語環境で行われてきた研究は、質・量ともに十分でない。したがって、本研究では、非英語圏(日本)に滞在する英語スピーキング初級者を対象として計画時間の第二言語運用力への効果について、以下の点について検証を行った。 (1)英語スピーキング初級レベルの学習者に対して、タスク前計画時間の有無が与えるスピーキング運用力の量的変化 (2)タスク前計画時間の有無が与える英語スピーキング運用力に対するテストスコア (3)タスク前計画時間の有無が与える計画時間中及びタスク中の認知プロセス その結果、以下の点についてわかった。 (1)第二言語運用分析:「流暢さ」と「正確さ」について有意差は見られなかった。一方、「複雑さ」について、計画時間有りの際に「1ターンにおける語数」において統計的有意が見られた。 (2)評価スコアのFACET分析:「流暢さ」と「複雑さ」において、計画時間有りの際に統計的有意が見られた。 (3)タスク後アンケートの分析:計画時間無しの際、タスク開始前、学習者は自分の考えが簡単に伝えられると感じる傾向があった(統計的有意差有り)。しかし、計画時間中及び、タスク中には有意差が見られなかった。 本研究結果から、計画時間の有無がスピーキングタスクの運用に与える影響は、初級レベル学習者において必ずしも有効ではないことが観察された。しかし異なる学習者を対象とした研究では、その結果が「計画時間の有無」によるものか、あるいは「学習者個人の性質」によるものか明確ではない。今後は同じ学習者が異なる習熟レベルにある時点に調査を行い(例えば、留学前後)、さらに細かい分析を行っていく必要がある。
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Research Products
(7 results)