2010 Fiscal Year Annual Research Report
大学英語教育における「プログラム評価」の導入及びその戦略的汎用化のための基礎研究
Project/Area Number |
21720210
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山中 司 立命館大学, 言語教育センター, 講師 (30524467)
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Keywords | プログラム評価 / 大学英語教育 / 自己肯定感 / 英語教授法 / プロジェクト発信型英語教育 / 自律的学習者 / 支援評価 / コミュニケーション論 |
Research Abstract |
日本の若者が一般的な傾向として、自尊心や自己肯定感を持てないでいることは種々の調査が示すところであり、それは他国と比較しても顕著であると言われている。もちろん一概に自己肯定感の低さを問題視すべきではないとの考え方もある。しかし英語教育の分野においては、学習者の自己肯定感の低さによって、彼らの教育パフォーマンスが阻害されることが起こり得る。本研究は、教育手法の中に自己肯定感を高める評価の仕組みを導入することが、結果的に学習者に立ち位置と自信を与え、高い教育パフォーマンスを引き出すことを理論的に考察したものであり、そのためのケースとして、鈴木佑治、田中茂範らによって慶應義塾大学SFCにて開発・実践され、現在は鈴木によって立命館大学生命科学部・薬学部で実施されている「プロジェクト発信型英語教育」を取り上げた。 学習者の自己肯定感を高める上で、評価がこの役割の一端を担うことは大きな意義を持つ。現状では、評価の支援的要素は十分に活かされておらず、より積極的な意味で、学習者が持つ能力や成長を評価し、自己肯定感の醸成を制度的に後押しできることは望ましい。本研究の貢献は、プロジェクト学習という総合的な営みに対してどう評価するかという問いに対して理論的な枠組みを示し、その観点からの評価可能性を示したところにある。前提として、点数による序列化を目指す評価ではなく、学習者の動機づけを支援する「支援評価」の必要性を論じた上で、枠組みとしてポートフォリオ評価の形態を採りつつも、カウンセリングセッションなどを取り入れたプロセス重視の診断・助言型の評価法を提案した。評価の際には「何がどの程度できるか」というcan-doリストを個々の学習者に示すものとし、リストは、英語運用能力、リサーチ、プレゼンテーション、ディスカッション、全体的評価といった技能に特化したカテゴリーをカバーする項目群を作成、試行を行った。
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