2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタ認知方略の習得過程の解明と学習者支援モデルの構築
Project/Area Number |
21720213
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池田 真生子 Kansai University, 外国語学部, 准教授 (00425323)
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Keywords | 英語教育学 / メタ認知 / 学習者支援 |
Research Abstract |
平成21年度には、大学での英語授業内においてメタ認知方略の指導をおこない、メタ認知方略の使用状況の変化を探るとともに、どのようなことがメタ認知方略使用の習慣化(自己調整)を妨げるのかについての質的研究を実施した。 手順としては、英語学習者(大学生約10名)に対してメタ認知方略の指導を英語授業中に実施し、その後、授業外での学習においてメタ認知方略をどのように使用したのかを、日記法により約半年間に渡り継続的に探った。また、各参加者には指導終了から6ヶ月後に(半構造式)インタビューをおこない、習慣化されなかった方略に関してその理由を確認し、データの重層化を試みた。その後、得られたデータをグラウンディッド・セオリー・アプローチの手順にもとづき切片化し、傾向を見出した。 その結果、メタ認知方略の使用を習慣化する際には、a)過去の失敗や現在の悩みなど、否定的な要素を含んだ動機を学習者が持ち合わせ、さらにb)友人がメタ認知方略を使用していたり他の授業でも紹介されたりなど、指導前後に、方略の有効性を再認識する機会を必要とする傾向が見られることがわかった。また、メタ認知方略使用の習慣化を妨げるものとしては、a)(習慣形成までの)強制的な使用の機会、b)導入に伴うコスト(労力)、c)方略に対する理解のずれ、が原因であることが確認された。 このように、比較的長期的なデータ収集とその質的な分析により、英語学習におけるメタ認知方略の使用を習慣化していく過程を明らかにされると同時に、習慣化を妨げる原因が解明された意義は大変大きいと言える。また、本研究の結果は、今後の学習者支援のモデル構築や教材開発に活かすことが期待される。
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