2009 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖動詞の意味の再構築を促す収斂型コンコーダンス集の教育的効果に関する研究
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21720214
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
能登原 祥之 Hijiyama University, 現代文化学部, 准教授 (70300613)
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Keywords | 学習者コーパス / イベントスキーマ / 文型 / 連鎖動詞 / コンコーダンス / 例文提示教育 |
Research Abstract |
2008年度にまとめた「日本人英語学習者のイベントスキーマと文型への親密度」の研究を2009年4月に第33回英語コーパス学会(2009年4月25日神戸大学)で発表し、それを論文化した上で『英語コーパス研究』17号に投稿した。 この研究結果を踏まえて、中学・高校までの学習者が習熟している動詞の文型とイベントスキーマを核に、動詞を2つ連鎖させる連鎖動詞構文(catenative verb constructions)までを型としてしっかりと指導する教育的意義を説いた。その上で、学習者の連鎖動詞構文への親密度に注目して上記の研究と同じ手法で学習者コーパスの調査を行った。その結果、意味上の主語を含めた構文になるとどの動詞を軸にしても学習者が使い慣れていないことが分かった。これを第35回全国英語教育学会(2009年8月9日鳥取研究大会)で発表した。 また、2009年度前期には、上記2つの基礎研究を踏まえて、大学生(初級・中級者)を対象にした収斂型コンコーダンス集を作成した。このコンコーダンス集は、学習者が親密な動詞を軸に、自由英作文の表現力、特に動詞の表現力のバリエーションを伸ばすためにデザインしたものである。そして、その教育効果を縦断的研究(実践I)を通して確認していった。その結果、動詞のスキーマごとで認知的負荷が異なる可能性があることを指摘した。この結果は、『広島大学大学院教育学研究科紀要(第二部第58号)』(2009)に整理した。研究後、(1) 収斂型コンコーダンスの難易度、(2) コンコーダンスの提示方法、(3) コンコーダンスの指導法、が課題となり、同年後期に実施した実践IIで改善しその教育効果を整理している。 研究2年目の2010年度では、2回の実践経験を通して明らかとなった問題点を改善し、さらに質を高めた実践III、実践IVを行う予定となっている。
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