2010 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖動詞の意味の再構築を促す収斂型コンコーダンス集の教育的効果に関する研究
Project/Area Number |
21720214
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
能登原 祥之 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (70300613)
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Keywords | 学習者コーパス / イベントスキーマ / 文型 / 連鎖動詞 / コンコーダンス / 例文提示教育 / 中学校英語教科書 / 頻度効果 |
Research Abstract |
2009年度に実施したJEFLL Corpusを通した基礎調査(能登原,2010; Notohara,2011)をふまえ、学習者コーパスの習熟度傾向は、主に中学校の英語教科書の頻度効果の影響を受けていると判断した。そこで、学習者が使用したと想定される教科書(2002年度版7社3学年21冊)を題材に同様の分析手法で教科書の頻度効果を調査した。12種類の構文の観点からは、be(location/SV)、see(Percpetion&Cognition/SVO)以外は同じ傾向にあることが分かった(第41回中国地区英語教育学会2010.6.26.広島大学で発表)。また、頻度効果をTaylor(2002)のスキーマの力(schema strength)の理論を基にトークンとタイプの2種類に厳密に区別し分析した。その結果、Self-motion/SV、Action/SVOに関する構文が教科書には種類多く散見されるが、各種類の構文頻度が極めて少ないためスキーマを構築するには不十分であると判断した(第36回全国英語教育学会2010.8.7.関西大学で発表) この学習者及び教科書コーパスの基礎調査をふまえ、2009年度前期に実施した実践I(能登原,2009)の問題点(収斂型コンコーダンスの難易度、コンコーダンスの提示方法、コンコーダンスの指導法)を改善した。また、指導効果についても焦点を絞り、同レベルの大学生(初級・中級者、CEFR A2レベル)を対象にした実践II(検証)を15週のうち10週間実施した。その結果、特にPerception/Cognition/SVO-ingの連鎖動詞構文で効果が確認された。また、4-gram分析を通して学習者の中間言語の特徴を質的に記述したところ、NP is look like Adj、there has NPといった誤った構文を使うことも分かってきた。これについては、スキーマの葛藤(schema conflict)の観点から考察が必要となった。 研究3年目の2011年度では、実践II(検証)をふまえ、同じ環境で同レベル(CEFR A2レベルの大学生)の異なる学習者を対象に実践III(再検証)を実施する。そして、3回の実践経験をふまえ、本研究でデザインした収斂型コンコーダンス集の教育的効果を整理する。最後に、定着し難い構文の性質を吟味し今後の課題とする。
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