2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720220
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 雄 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50416559)
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Keywords | 日朝関係 / 朝鮮王朝 / 室町幕府 / 偽使 / 真使 / 大蔵経 / 牙符(象牙符) / 勘合 |
Research Abstract |
本課題の3年度目にあたる2011年度は、引き続き、室町時代における唐物の贈与・蕩尽および外交儀礼に関する基礎的な史料やデータの収集・分析を行なった。とりわけ、年来関心を抱いている外交儀礼に不可欠な事務的な書類(日明勘合およびそこに記された別幅咨文)に関しては、さらに新たな知見を得ることができた。 また、本研究課題の成果の一部として昨年度末に刊行した拙著『中華幻想』(勉誠出版、2011年3月)への反響に応ずるかたちで、拙稿「《中華幻想》補論」(『寧波と博多を行き交う人と物』(仮題)汲古書院、2012年刊行予定)をまとめたほか、今年度中に執筆した一般書『室町時代の日朝関係』(仮題)も来年度中盤(8月頃)には刊行される予定である。後者の拙著では、舶来品のなかでも屈指の位置を占めた大蔵経の請来などを扱った。本研究課題を社会に還元し、その成果をあらためて世に問うものと位置づけたい。 そして、本研究課題に直接かかわる個別論稿も、新規に複数本、発表することができた。拙稿「「冊封体制」論を見直す」(『ニューサポート高校社会』)では、外交儀礼論を軸に、教育現場へ情報を発信し、多数の購読者数を有する『日本歴史』2012年正月特集号では「海外との人・モノ・文化などの交流は、実際どの程度政治や文化に影響を及ぼしていましたか?」という論題で文物交流に関する卑見を発表した。加えて、古琉球史に関する最新の専論(岡本弘道著『琉球王国海上交渉史研究』)への書評も発表し(『東洋史研究』)、現在、東方学会の機関誌『ACTA ASIATICA』に寄稿した英語論文("Korea in Muromachi Culture")を校正中である。いずれも本研究課題に関わる論稿であり、その多くが依頼原稿であることを考え併せると、学界・教育界等における本研究課題のごときテーマへの関心の高さをうかがうことができるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題に関する個別研究論稿が多数発表できたと同時に、昨年度に単著の論文集を一冊刊行し(拙著『中華幻想-唐物と外交の室町時代史』(勉誠出版、2011年3月)、今年度一年をかけて執筆した単著の一般書がまもなく上梓される予定である(拙著『室町時代の日朝関係-幕府外交から偽使問題まで』(仮題)吉川弘文館、2012年8月予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
室町日本における琉球経由の唐物請来や、琉球王国(琉球国中山王府)と室町期日本との外交・通交儀礼、あるいは琉球王国そのものの外交儀礼や唐物・和物輸入などに関しては、依然として手薄であり、最終年度にあたる翌2012年度は、沖縄・琉球および南島方面全般に力を入れて、当該課題にかかる調査研究を進めていきたい。
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Research Products
(4 results)