2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世朝廷社会における政務運営システムと公事情報の伝達
Project/Area Number |
21720225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 珠紀 The University of Tokyo, 史料編纂所, 助教 (10431800)
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Keywords | 政務運営システム / 官司制度 / 日本中世 / 朝廷 / 古記録 / 外記 |
Research Abstract |
本研究課題は、中世の朝廷社会で実務を担った中下級貴族の活動・役割、その中世を通した変遷から朝廷全体の政務運営システムについてまとめることを志すものである。中世の貴族たちの手になる日記(古記録)は数多く伝来しているが、まだその検討、蒐集、紹介は充分とはいいがたい研究状況にある。そこで初年度に当たる平成二十一年度においては、研究の基礎となる諸古記録および関連文書の収集、分析を中心に研究を進めた。そのため宮内庁書陵部、国立歴史民俗博物館、京都府立総合資料館、天理大学附属天理図書館を始めとする諸機関、各地の文書所蔵者の許に調査に伺い、マイクロカメラによる写真撮影や紙焼の購入を行った。蒐集した史料は、史料的性格を検討し、翻刻を進めている。その中で本年度は尊経閣文庫所蔵「外記日記」、国立歴史民俗博物館・東京理科大学近代科学資料館・廣橋興光氏所蔵「綱光公記 文安三年・四年暦記」、東京国立博物館所蔵「明月記 天福元年」等の紹介を行った(後掲研究発表欄参照)。これらはいずれも鎌倉・室町期の朝廷の実務を担った中下級貴族の日記であり、当該期の研究を行う上で重要である。またそれぞれの料紙や紙背文書の検討も併せて行った。 このような史料蒐集を進める一方、中世朝廷研究の前提として、関係する先行研究の読み込みを行い、課題となる問題を析出した。2011年度以降、鎌倉期~室町期まで通時代的に、また個別の官司の性格と共にその変容を中世社会全体で一元的に捉えて研究を進めていきたい。検討の一部は「鎌倉時代の朝廷制度史研究」『歴史評論』714としてまとめた。
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