2009 Fiscal Year Annual Research Report
国内体制間関係からみる日本近世対外関係史試論―長崎を事例に
Project/Area Number |
21720227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 直樹 The University of Tokyo, 史料編纂所, 助教 (40323662)
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Keywords | 日本史 / 近世 / 東アジア / 外交 / 異文化交流 |
Research Abstract |
本研究「国内体制間関係からみる日本近世対外関係史試論-長崎を事例に」は、主として、近世中後期(18・19世紀)を、分析対象の年代とする。近世都市長崎は、オランダ出島商館や唐人屋敷・奉行所を含む長崎都市社会・長崎に関わる九州諸藩(佐賀藩・熊本藩を中心に)という三つの作業概念上の要素から成り立っていると考えることができる。本研究では、そられ相関関係を、その媒介項と位置づけられる、各藩が設置した長崎蔵屋敷と、商館に出入りする通詞や商人などの集団に着目し、解明することを目指した。平成21年度はその成果を盛り込んだ研究代表者の単著を発表することができた。 平成21年度は、国内調査を行い、関係史料の発掘・分析を行った。本研究では、特に九州諸藩については佐賀藩・熊本藩を中心とすることから、佐賀藩については佐賀県立図書館寄託鍋島文庫の調査を行い。さらに熊本については熊本大学附属図書館所蔵松井文庫の調査撮影を行った。また長崎関連文書の調査の一環として、長崎県長崎市長崎歴史文化博物館所蔵史料の調査をおこなった。 今年度の学術的に発表できた成果は、都市長崎と長崎奉行と、藩側の結節点となる長崎蔵屋敷を監督する各藩の長崎聞役の成立について、熊本藩の事例を明らかにすることができた。また、十八世紀を通じた長崎と諸藩との関係の基本的な構造について、学会発表を通じて提示し、その成果は平成22年度に出版される予定である。
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