2011 Fiscal Year Annual Research Report
国内体制間関係からみる日本近世対外関係史試論―長崎を事例に
Project/Area Number |
21720227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 直樹 東京大学, 史料編纂所, 助教 (40323662)
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Keywords | 日本史 / 近世 / 異文化交流 / 通訳 / 対外関係 |
Research Abstract |
本研究「国内体制間関係からみる日本近世対外関係史試論-長崎を事例に」は、近世長崎のオランダ商館出島に出入りしたオランダ通詞を主対象に、長崎での幕府の政策展開と、都市長崎を構成する諸集団(長崎都市社会・九州諸藩・異国人)との関係を追究した。 研究最終年度にあたる本年度は、その成果を、木村直樹著『〈通訳〉たちの幕末維新』(吉川弘文館、2012年1月)として出版することができた。 本研究では、近世中後期(18・19世紀)を分析対象の年代として、近世都市長崎を構成する三つの集団、すなわちオランダ出島商館や唐人屋敷・奉行所を含む長崎都市社会・長崎に関わる九州諸藩(佐賀藩・熊本藩を中心に)について、そられ相関関係を、その媒介項と位置づけられる、各藩が設置した長崎蔵屋敷と、商館に出入りする通詞や商人などの集団に着目し、解明することを目指した。 本年度は、前年度に引き続き、前半期は国内調査を行い、補充調査を行いつつ研究をとりまとめ、研究成果を出版するに至った。 調査では、特に九州諸藩については佐賀藩・熊本藩を中心とすることから、佐賀藩については佐賀県立図書館寄託鍋島文庫の調査を行い、熊本については熊本大学附属図書館寄託永青文庫・同所蔵松井文庫の調査撮影を行った。佐賀・熊本両藩の長崎に関わる史料の調査・撮影・焼付を通じて収集したデータの分析から、両藩が長崎に常置していた蔵屋敷の機能・その人的内部構造・蔵屋敷を経由すするモノや情報の流れについて検討し、その中で特に出入りする通詞について重点的に分析した。 それほかにも、上記両藩と長崎に関係する史料は九州各地に分散しており、島原市本光寺所蔵文書など周辺諸藩の史料発掘も積極的に行った。
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