2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720233
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 准士 Shimane University, 法文学部, 准教授 (80294354)
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Keywords | 神道講釈師 / 『興復記』 / 『阿賀問答』 / 明眼寺 |
Research Abstract |
島根県飯南町の明眼寺文書の調査を進め、当地における神職と僧侶の間での争論や、広瀬藩領における一家一寺令(一家構成員の檀那寺を一つに限定する法令)施行を契機とした寺院と檀家(門徒)との関係をめぐる争論にかかわる史料を確認した。広瀬藩における一家一寺令は天明四年(1784)に出されたが、この法令を契機としてかえって争論が惹起される理由の分かる事例も見いだすことが出来た。 また、神道講釈師矢野左倉大夫に関する史料群として、大阪府熊取町の大森神社文書を確認し、同人の日記など複数の史料を撮影し解読を進めている。これにより、矢野左倉大夫の師が栄名井聡翁であることや、同人の近畿地方における神道講釈の活動の実態を詳しく明らかにできた。 さらに、同人と中国・九州地方の真宗僧侶との論争に関する史料として「阿賀問答」を発見し、広島県立文書館や御床家文書(福岡県糸鳥市)にある写本を撮影するとともに、古書店で販売されていた写本については購入して調査を進めた。これらの写本の筆写過程を追跡することにより、矢野左倉大夫が北九州や中国地方において神道講釈の活動をしていた場所などが判明した。 それから、西本願寺学林の能化を務めた功存の『願生帰命弁」を批判した宝厳『興復記』の出版をめぐる京都本屋仲間、本願寺等の対応に関する研究を進め、その過程で同書出版の背景に讃岐国における真宗僧侶どうしの論争があることを発現した。これにより、三業帰命説と神祗礼拝をめぐる議論に関連があることが判明したので、引き続き調査を進めることにした。
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Research Products
(1 results)