2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦時・戦後日本社会の医療問題に関する政治・社会史的研究
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21720234
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鬼嶋 淳 佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (60409612)
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Keywords | 日本史 / 医療運動 / 地域史 / 凶作 |
Research Abstract |
本年度は、研究の第2年目であった。今年度の成果は以下の通りである。 第1に、初年度収集調査した史料を利用して、「東北大凶作」の実態とそれへの対応を保健衛生、医療問題、生活問題に注目して検証し、論文を執筆した(未発表)。食糧、衛生、「貧困」問題などに着目して凶作の影響を具体的に検証し、さらに、県、社会事業協会、岩手医専、日本赤十字社岩手県支部の医師や医学生、東北更新会などの凶作下の取り組みを分析することで、凶作下の地域の実態を明らかにした。 第2に、戦後の埼玉県を中心とした地域医療、医療運動に関する史料を数多く含む「大島慶一郎関係資料」(埼玉県ふじみ野市立大井郷土資料館所蔵)の整理・目録化作業を進めた。最終段階で、大島医師個人の書簡などが大量に発見されたため、整理を終わらせることができなかった。医師、あるいは病院の史料は全国的にそれほど多くはなく貴重であることから、整理作業を継続した。今後、個人史料を含めて戦後医療運動、医療問題を検討する予定である。 第3に、西日本地域の保健衛生・医療・生活問題を検討するための予備調査を行った。これまでの分析対象地は東日本地域に集中しており、地域社会のあり方などが大きく異なる西日本地域についての検討が必要であると考えているためである。今後、追跡調査する地域を決定し分析を進めたい。 なお、初年度の調査・研究で、医療問題に集約するのではなく、生活環境を含めた検討が必要であることを確認しためで、2年目から医療運動、医療問題に限定しないで調査を行っている。
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