2010 Fiscal Year Annual Research Report
室町~江戸初期における朝廷・天皇・公家衆の発給文書と政治的動向
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21720238
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
水野 智之 高千穂大学, 商学部, 准教授 (00468240)
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Keywords | 室町時代 / 戦国時代 / 公武関係 / 摂関家 / 朝廷 / 本願寺 / 九条流摂関家 / 近衛流摂関家 |
Research Abstract |
本年度の研究成果として、第一は「室町・戦国期の本願寺と公家勢力」である。内容は本願寺と公家勢力の関係について、特に本願寺と摂関家との、あるいは本願寺宗主と姻戚関係にある公家衆との政治的状況を明らかにしたものである。本願寺に関わる研究は多いが、本願寺と公家勢力の関わりを政治的に論じた研究はほとんどなく、本稿はその点を主要テーマとして扱った研究である。本研究の重要性としては、関白をめぐる九条家と近衛家との対立が室町期から戦国期にも継続し、天文年間初期には足利義晴・近衛稙家・細川晴元⇔足利義維・九条稙通・三好伊賀守・本願寺という対抗関係があったことを明らかにしたことである。 第二は「足利義晴~義昭期における摂関家・本願寺と将軍・大名」である。内容は第一の研究を継続し、天文年間以降を検討したものである。九条・二条・一条家の九条流摂関家と、近衛・鷹司家の近衛流摂関家の動向を分析し、それぞれの対立状況および本願寺、将軍・大名との関わりを探っている。従来、義晴~義昭期における公家勢力の政治的動向を扱った研究としては近衛家を中心とする分析があるが、本研究では主に九条家の動向を解明し、九条流摂関家と近衛流摂関家の動向として、より総体的な政治的状況を解明した。本研究の重要性としては、当該期の将軍や大名の抗争に、摂関家をはじめとする公家勢力が関わっており、その対立状況を明らかにしたことである。加えて、天皇が武家相互の争いを調停する前提には、摂関家をはじめとする公家勢力がその争いに関与していたという前提を指摘したことである。
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