2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21720246
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
鎌谷 かおる 神戸女子大学, 文学部, 講師 (20532899)
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Keywords | 日本史 / 江戸時代 / 漁業 / 琵琶湖 / 「村の日記」 / 漁業権 / 所有 |
Research Abstract |
本研究は、日本近世の漁業権のあり方について、とくに所有関係の把握が難しい内水面を対象とする実態を解明し、それが漁村の地域秩序や実際の漁業に与えた影響について分析しようとするものである。近年、歴史学だけでなく、経済学、地理学、社会学などで議論がすすんでいるローカルコモンズ論に歴史学的な視点を導入するための基礎的研究でもある。 平成23年度は、以下の3点を中心に研究をおこなった。 1、琵琶湖および河川の漁業権に関する研究 (1)漁業史料の調査と整理 滋賀県高島市マキノ町知内区所蔵の知内区有古文書のうち、漁業に関する史料について調査および整理作業をおこなった。加えて、同地域の個人宅所蔵の漁業史料についての調査もおこなった。 (2)漁業関連史料の調査 湖水面の所有関係を明らかにするために、近江国の領主支配に関わる史料についての調査も実施した。具体的には、栃木県佐野市立郷土博物館において、堅田藩堀田家文書の調査をおこなった。 2、漁業権に関する史料の収集整理および分析 調査した史料の翻刻作業および、研究史の整理作業をおこなった。研究史の収集については、滋賀県立図書館等の所蔵本を閲覧した。 3、琵琶湖を含む山野河海の所有の有り様についての分析 1と2の成果を活かしながら、「琵琶湖の生業と所有」について研究をおこなった。その成果として、「日本近世における山野河海の生業と所有-琵琶湖の漁業権を事例に-」という題目で大阪歴史学会大会において発表をした。発表内容は、同題目で『ヒストリア』第229号に論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、4年間で(1)琵琶湖全域における漁業権の把握(2)実際の漁業範囲の把握(3)漁業争論における「漁業権」の利用のされ方についての検討(4)漁業権に影響される漁村の地域秩序について研究をおこなう計画である。これらのうち、(4)についてはすでに研究論文を発表しており、(1)~(3)についても、研究成果を発表しつつある。よって、研究はおおむね順調に進展していると言える。最終年度にあたる平成24年度には、論文を量産し、研究成果の発信について意欲的に取り組むことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで3年間、漁業権を通した地域秩序の実態解明や山野河海の所有のあり方について検討をおこなってきた。とりわけ平成23年度は、漁業を含む生業をおこなう「場」の権利についての漁民の認識について具体的に検討した。それは、支配される側から見た「所有体系の有り様」を確認する作業でもあり、近世の支配や所有について、生業という視点を通していかに描きだすことが出来るのかという試みでもある。 今後も以上の意識に基づきながら、漁業を中心とする生業を素材に、近世の所有のあり方、殺生禁断と漁業との関係等の研究および論文の量産に努めるとともに、生業論についての多くの研究蓄積の研究史整理を丁寧におこない、その中に自身の研究を位置づける作業をすることが必要であると考えている。
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Research Products
(2 results)