2012 Fiscal Year Annual Research Report
戦後変動期におけるモンゴル人の政治・言論活動に関する研究
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21720250
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 陽子(田淵陽子) 東北学院大学, 公私立大学の部局等 アジア流域文化研究所, 客員研究員 (40436176)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | モンゴル / ナショナリズム / 満洲国 / 呼倫貝爾 |
Research Abstract |
本研究では、戦後モンゴル地域社会の変動期(1945-1949年)、モンゴル人政治家・知識人等のナショナリズムをめぐる様々な言論・政治活動がいかなる実態にあったのかを考証してきた。最終年度である本年度は、内モンゴル・フルンボイル(呼倫貝爾)地域における社会変動と人口流動、そして地域エリートの政治活動に関する調査分析を重点的に行った。その概要は次のとおりである。 フルンボイル地域エリートには、大きくわけて二つのアイデンティティが内在化されていたことを指摘した。すなわち、ハルハからの移住者集団としてのバルガ・アイデンティティ、そして多様なエスニックグループを包括するフルンボイル八旗アイデンティティである。この二つのアイデンティティに加え、フルンボイル地域住民が抱いていた多様なアイデンティティの重層性と、地域政権樹立への模索過程との関連性を明らかにした。すなわち、清朝の帝国支配構造、それと併存する遊牧社会の凝集力、そして地域社会で共有された過去の民族運動の記憶などは、フルンボイル地域に内在化されたアイデンティティとして、20世紀前半期を通じて蓄積された。20世紀のフルンボイルは、国際社会の矛盾が集積する辺疆に位置づけられたが、その一方で、いわゆる「内モンゴル」とは異なる独自の地域アイデンティティと凝集性、特殊性を保持しており、それが第二次世界大戦後の社会変動と密接に関係していた。 また、戦後にフルンボイルから外モンゴルへ移住したモンゴル人知識人のライフヒストリーや個人所有の古文書について、一部収集データはすでにまとめ、学術誌に投稿済みである。インフォーマントは高齢化が進んでいるため、収集したデータを学会で共有化することは重要な意義をもつと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)