2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720252
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松尾 昌樹 Utsunomiya University, 国際学部, 准教授 (10396616)
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Keywords | 西アジア・イスラーム史 / ナショナリズム |
Research Abstract |
オマーンではマスカト市政局において、アラブ首長国連邦ではアブダビ教育ゾーン、ドバイ教育ゾーン、アラブ首長国連邦教育省において、教科書収集を行うとともに、カリキュラム編成に関する聞き取り調査を行った。今回は社会科教科書(歴史、地理、社会など)に限定して収拾したが、一つの科目の全教育課程の教科書を収集するということは、少なくともアラブ諸国を対象としては例がなく、大きな成果であったと考えられる。 なお、当初の計画では、オマーンにおいてはオマーン教育省で教科書収集を行う予定であったが、オマーンでは現在、地方行政組織が教科書の配布を担当しており、そのために研究代表者が訪問したオマーンの首都マスカトにおいては、マスカト市政局において教科書の収集を行うこととなった。また、アラブ首長国連邦においては、当初は教育カリキュラムをめぐる首長国間の綱引きが存在することを想定し、個別にインタビューを行う計画であったが、現地調査を行ったところ、このような綱引きが全く存在しないことが確認された。また、両国では書店での資料購入も行った。 ここで収集された教科書や資料の分析は現在進行中であるが、現在のところ、特に歴史教科書において、「国史」教育がなされている様子が判明しつつある。社会科教育が「国史」教育を行う教育分野としてある種当然であるならば、それ以外にも、例えば国語教科書における「読み物」の題材調査などによって、多様な教育分野における「国民意識」の形成を分析する必要性があることも明らかになりつつある。 また、上記の教科書収集・調査に加え、3名の研究協力者と合同で研究会を開催し、湾岸地域の国史形成に関する比較研究を推進してゆく組織を立ち上げた。この研究会は、次年度以降も継続して開催されることになった。
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