2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 真実 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 研究員 (00451782)
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Keywords | タタール人 / 商人 / ジャディード / 中央ユーラシア / 近代 / ロシア |
Research Abstract |
本年度は4月に研究代表者の妊娠が明らかになったため、計画していた海外調査を全て中止することになり、代わりに北海道大学で資料調査を行った。この資料調査においては、アメリカで出された博士論文や、北大に豊富なロシア語文献を閲覧・コピーした。 この調査で得た資料も盛り込む形で、本年度3月にモスクワで刊行された論文集Volgo-Ural'skii region v imperskom prostranstve. XVIII-XX vv.(Volga-Ural Region in the Imperial Space in the 18-20^<th> Centuries)が研究代表者の本年度の最大の業績である。研究代表者は編者の一人として本書の編集作業にあたるとともに、本書に、タタール商人の沿ヴォルガ・ウラル地方と中央アジア、新疆における商業活動、および彼らのロシア政府との協力関係について考察した論考を掲載した。この論考によって、本研究が目指す、ロシアとイスラーム世界でタタール人が果たした政治的役割の一端を明らかにできたと考えている。 10月にはリトアニア=ポーランド・タタール人に関する研究報告を行い、ユーラシア西方におけるタタール人ネットワークの広がりを、彼らが他のムスリムよりいち早く近代化した生活に適応したという点に注目して分析した。この研究は、タタール人ネットワークの文化的側面の研究に資するものである。本報告は、来年度中に論文にまとめる予定である。 脱稿予定だった19世紀前半のタタール商人の活動に関する論考は、残念ながら完成に至らなかった。来年度の課題としたい。
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