2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720262
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 英里 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 助教 (70516012)
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Keywords | インドネシア史 / 民衆運動 / 地域社会 / ジャワ / バンテン / ランプン / 移民 / 出稼ぎ |
Research Abstract |
平成21年度に実施した研究の成果は、まず西ジャワ・バンテン地域における世界恐慌の影響について検討したことである。バンテンは、ジャワの他地域のような外国人経営による輸出向け作物の栽培が盛んでなく、産業の中心は住民による米とココヤシの栽培であった。こうした地域における住民の生活に、世界市場の変動がどのような影響を与えたのかはこれまでほとんど解明されていない。私は、オランダの国立総文書館やオランダ国立民族研究所(KITLV)で集めてきた一次史料を元にこれらを検討し、名古屋大学で2009年6月に開催された東南アジア学会の中部例会でその成果の一部を報告した。これは交付申請書に記載した本研究の目的である、農村の階層構造や農業生産力と民衆運動を関連づけて考察するという作業の一環として位置づけられる。 またバンテン人の最大の現金収入源の一つであった南スマトラ・ランプン地域への出稼ぎに関して、その実態と、彼らがランプン社会で果たした役割について検討した。コショウ栽培が盛んで人口密度の低いランプンでは、収穫期における貴重な労働力として、バンテンからの出稼ぎ労働者がジャワ人移民と共に重宝されており、ランプン社会において非常に重要な役割を果たしていたことが分かった。その成果の一部は東南アジア学会の学会誌である『東南アジア 歴史と文化』第38号に掲載された他、平成22年6月にシンガポールで開催されるIAHA (The International Association of Historians of Asia)において発表することが決まっている。
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